喫煙の害を完全に無くすことはできなくても、減らす努力はできる。

喫煙が体に害があるということは周知の事実です。一方2025年においても世界で10億人以上の人が喫煙を続けていると推測(*1)され、喫煙による害をゼロにすることは困難です。では、たばこ会社にできることは? 公衆衛生の専門家、山川先生と、フィリップ モリスの飯田がお伝えします。

喫煙の害を完全に無くすことはできなくても、減らす努力はできる。

喫煙が体に害があるということは周知の事実です。一方2025年においても世界で10億人以上の人が喫煙を続けていると推測(*1)され、喫煙による害をゼロにすることは困難です。では、たばこ会社にできることは? 公衆衛生の専門家、山川先生と、フィリップ モリスの飯田がお伝えします。

山川正信

びわこリハビリテーション
専門職大学学長
京都大学大学院修了後、
公衆衛生学を専門に、滋賀医科大学医学部を経て
大阪教育大学教授、宝塚大学学長を歴任。
2020年4月から現職

飯田朋子

フィリップ モリス インターナショナル
ディレクター(科学渉外アジア担当)
ソニー株式会社、
マサチューセッツ工科大学
バイオテクノロジーセンターなどを経て、
2019 年7月から現職

「害の低い代替製品への移行を喫煙者に提示できれば、 公衆衛生の面からも意義がある」(山川氏)

山川正信

イギリスやオランダを中心に提唱され実践されてきた公衆衛生施策「ハーム(害)リダクション(低減)」があります。これは個人が健康被害をもたらす行動をすぐに止めることができない時、その行動に伴う害を減らすことを目的としたものです。たばこの問題にも、この考え方を当てはめることが可能です。紙巻たばこよりも害の低い代替製品への移行を喫煙者に提示していくことは、公衆衛生の面からも意義のあることだと思います。

「燃焼をなくす」ことが、喫煙の害を低減する鍵。

飯田朋子

たばこ葉が高温で燃えることによって、6千種類以上の化学物質が発生し、その煙の中には、喫煙関連疾患の原因となる有害性成分がおよそ百種類含まれます。たばこ葉に火をつけて「燃やす」のではなく「加熱」すれば、煙が出ず、発生する有害性成分の量も大幅に低減できます。

山川正信

そのような製品は、ハームリダクションの観点から大変有効な紙巻たばこの代替製品であると言えます。とはいえ、有害性成分はゼロになっているわけではく、たばこ葉を用いた製品である以上リスクがないわけではありません。

飯田朋子

加熱式たばこなどの煙の出ない製品にもリスクがないわけではなく、成人喫煙者にとってベストな選択肢は禁煙ですが、それでも、喫煙を続ける方々がいる以上、紙巻たばこと比べて、害を低減する可能性のある製品を開発し、提供することは、私たちの責任です。すでに成人喫煙者の4人に一人は加熱式たばこを使用(*2)しています。加熱式たばこの販売開始に伴って紙巻たばこの消費量が4年で34%も減少(*3)しました。

適切な規制環境と社会の後押しがあれば、今後10〜15年の内に紙巻たばこを煙の出ない製品で置換え、日本で「煙のない社会」を実現することも不可能ではないと信じています。

喫煙のリスクの主な原因は「燃焼による煙」と、煙に含まれる有害性成分で、ニコチンではなかった

日本の紙巻たばこの消費量は近年減少傾向にあり、成人喫煙者にとってベストな選択肢は禁煙です。でも、「ベストな選択肢」を選ばない人もいます。

山川正信

一般に、たばこ葉に含まれるニコチンが、喫煙関連疾患の主な原因であるかのように思われていますが、それは誤解です。燃焼によって発生する煙、より正確には、その中に含まれる有害性成分こそが主たる要因です。とはいえ、ニコチンには習慣性はあり、多くの人が喫煙を続ける要因でもあります。また、心拍数を高めることから心臓にも負担をかけるなど、リスクがないわけではありせん。

飯田朋子

ですので、未成年の方はもちろん、妊娠中や授乳中の女性、心臓疾患や重度の高血圧、糖尿病の方などは、ニコチンを含む製品を使用するべきではありません。喫煙をされている方にとってもベストな選択肢は禁煙です。それでも、喫煙を続ける方々は多くいらっしゃいます。そういう方々にとって、発生する有害性成分を低減しつつ、たとえばニコチンを摂取できる、加熱式たばこのような代替品は、紙巻たばこよりもベターな選択肢だと考えます。

「煙の出ない製品への切替えは、喫煙による害の低減に」-山川先生

飯田朋子

厚生労働省の国民健康・栄養調査(*4)によると、成人喫煙者の4人に一人が加熱式たばこを使用し、その内の75%以上は「加熱式たばこだけ」を使用しています。加熱式たばこの販売開始から約4年間で、日本の紙巻たばこの消費量が34%減少したことも確認されており(*5)、加熱式たばこは従来のどのような規制よりも短期間に、紙巻たばこの消費量を減らせたことが明らかになっています。適切な規制環境とたばこ産業全体の協力、社会の後押しがあれば、今後10-15年の内に紙巻たばこを煙の出ない製品で置換え、日本で「煙のない社会」を実現することも不可能ではないと信じています。

山川正信

成人喫煙者が、加熱式たばこのような煙の出ない製品に切替えることは、喫煙による害の低減=たばこハームリダクション(*6)の実践といえると思います。害の低減を目指すうえで大切なのは、こういった製品の有害性の低減について、メーカーだけでなく、第三者機関等による研究が進むことで、科学に基づく意見交換、情報公開による透明性が確保されるべきであるということです。

「煙を出さない」。それが「喫煙」にまつわる社会課題解決への第一歩

たばこの火の不始末等が主な原因とされる住宅火災問題や、吸わない人への迷惑など喫煙にまつわる課題と正面から向き合うために必要なことは何でしょうか?

山川正信

「燃焼による煙」をなくすことは、喫煙にまつわる様々な課題解決につながります。火をつけてたばこ葉を燃やさなければ、火災リスクを減らせます。煙も出ず、においも少ない。一酸化炭素などの有害性成分の発生も大幅に減らせます。こういった点を一つひとつわかりやすく伝えていけば、成人喫煙者の間で進んでいる紙巻たばこから加熱式たばこへの切替えについて、社会からより広く理解を得られるのではないでしょうか。

飯田朋子

私たちは「煙のない社会」実現のため、多くの自治体や企業と協力しています。世界遺産の白川郷では紙巻たばこの使用を禁じていますが、たばこ使用者のニーズに応えるため、火災リスクも減らせる加熱式たばこは決められた場所で使える環境を整備しました。これからも、科学的根拠に基づいて話し合い、喫煙にまつわる課題解決を進めていきます。

「丁寧な情報公開と誠実な姿勢が、 理解を広げるために必要」(山川氏)

山川正信

安全には基準がありますが、安心には基準というものがないのです。メーカーが第三者機関とも連携して情報をオープンにしていく丁寧さ、疑問にはっきりと答える誠実さを示していくことで信頼が育まれ、それが安心につながっていくと私は思います。
こうした本当の意味での「安心安全」が背景にあれば、紙巻たばこから加熱式たばこへの切替えが、周囲や社会にも配慮された、喫煙による「害の低減」の実践であるという理解へとつながるのではないでしょうか。

飯田朋子

会社としてたばこの問題に正面から向き合うことが大事です。成人喫煙者にとってベストな選択は禁煙。それでも、喫煙を続ける方々には、加熱式たばこへの切替えが、社会全体で喫煙による「害を低減」していくためにもベターな選択だと考えます

*1 世界保健機関たばこ関連報告書(2015)
*2 厚生労働省 国民健康・栄養調査結果(2019)
*3 アメリカがん学会による調査報告(2019)
*4 令和元年調査結果
*5 アメリカがん学会による調査報告(2019)
*6 個人が健康被害をもたらす行動をすぐに止めることができない時、その行動に伴う害を減らすことを目的とした公衆衛生の考え方

「煙のない社会」 についての詳細は、こちらのHPよりご覧ください。
www.pmi.com/markets/japan/ja/home/

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